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色んなことをつらつらと。
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とうとうやっちまった!初アタ男SSです。
翔→千里で、4話以降のお話。
無駄に長いですが、気にしないで下さい。
まあ、このSSで何がやりたかったかと言うと、SS後の"おまけ"です。
"おまけ"の3人には、カメラ目線で叫んでもらいたいです。
で、ブルッてる翔がカットインしてくれると完璧です。

それでは、SSへは、右下の「SSを読む」からどうぞ。



 *****


「ねぇ、次はアレ乗ろう!アレ!良いでしょ?」
興奮気味に小さな手が指さす先には、木製の大きなメリーゴーランドが廻っていた。
だが、いくら可愛い息子の頼みとは言えど、翔はすぐに頷けなかった。
大の男には似つかわしくない、そのメルヘンチックな装飾。
その上、平日の昼間であるためか、それを取り囲むのは子供連れの女性客ばかりだ。
なんとも言えない恥ずかしさに、翔が返事をためらっていると、
力が急かすように、翔と、そして、千里の腕を引っ張った。
「父ちゃんも千里も乗るよね!?ねっ!」

Et tu, Brute?

「ねぇ、本当に良かったの?」
メリーゴーランドの馬車の中で、小さくなりながら千里が訊ねた。
「よくねーよ。良いもんか」
同じく、力によって押し込められたその中で、さらに身を縮めながら翔が答えた。
一方で、大人二人を狭い馬車に閉じこめた力は、
その馬車をひく木馬の上で悠々と満足そうにしている。
そんな力をしり目に、翔はつづけた。
「こんなの乗ってる男なんて、俺だけだぞ」

よほど恥ずかしいのだろう。
千里は、いつもより強い翔のその口調に吹き出しそうになりながら、
そして、『それでも息子の頼みはきくんだね』と、からかってやりたい衝動にかられながら、
「ううん」と首を横に振った。
「私が言いたいのは、そうじゃなくて」
「じゃあ、何?」
「月一回しかない力くんとの面会日に、私がついて来ちゃって良いのかなって。せっかく親子水入らずで遊園地だったのに」
めずらしく遠慮がちな千里の態度に、
翔は、木馬の上の力に改めて視線を向け、溜息まじりに言った。
「──良いも何も、力が連れて来いって言うから仕方ねぇだろ」

あの誘拐騒動の一件で、力は誰よりも千里に懐くようになった。
何かあると二言目には「千里、千里」と、彼女の名前を口にする。
いろいろな意味で──父としても、男としても──少々複雑な気持ちの翔であるが、
もちろん、力はそんな父の思いを知る由はない。
数日前、電話で今日の遊園地の話をしたときも、「千里も一緒が良い!」と大騒ぎした。
 
「力のやつ、だいぶ気に入っているみたいだよ、あんたのこと」
翔の言葉に、千里がふと目を細めた。
「そっか。それなら良いんだけど」どこかうれしそうな千里に、翔は思わず顔をほころばせる。
それから二人は、他愛もない会話をしながら───
翔は、そうすることで密着している千里の身体から他へと意識を向けながら、
とりあえずこの短い時間を楽しむことに徹した。

***

それまで流れていた軽快で華やかなメロディーが止まるとともに、
メリーゴーランドがゆっくり停止する。
狭い馬車から解放された千里と、
理性と誘惑との戦いから脱することができた翔は、
どちらからともなく木馬から力を降ろす。
すると、そこで、遊園地の制服を着た女性に、力は声をかけられた。
「このお帽子はキミのかな?」
女性から差し出されたのは、見覚えのあるキャップ。
力が慌てて頭に手をやると、そこにあるはずの帽子がない。
どうやら、メリーゴーランドに夢中になっている間に落としてしまったらしい。
「力、ありがとうは?」
翔の注意を背中に、力が「ありがとう」と帽子を受け取ると、女性はニッコリとほほ笑んだ。
そして。
 
「ボク、良かったわね。パパとママと一緒で遊園地なんて」

女性の思わぬ言葉に、「え?え?」と慌てる千里。
一方、翔は柄にもなく耳を赤く染めている。
そんな二人の様子に、「あら?ご夫婦じゃないの?」と言いたげな女性に対し、
しっかりと答えたのは意外にも力だった。

「ううん、違うの。父ちゃんは父ちゃんだけど、千里はぼくのお嫁さん」

女性の目が一瞬大きく見開いた。が、すぐに全てを把握したらしく、
くすくすとおかしそうに笑いながら、その場を去っていく。
打ちひしがれる翔に、軽く会釈をして。

力よ、お前もか。

翔は新たなライバルの出現に、軽く眩暈を覚えたのだった。


fin.



★おまけ★

千里、翔、力が遊園地にいる丁度そのころ、大蔵家では───
「ねぇ、井上さん。千里さんを見なかった?」
帰宅すると千里の姿を捜すのが日課となっている優が、
ダイニングにいる井上に声をかけた。
「千里さんなら翔さんと一緒に遊園地です」
相変わらず無表情で井上がそう答えると、
優は言葉にならない言葉を発して口をパクパクさせ、
どこからともなく現れた智は、「はぁっっっ!????」と、怒りの籠もった大声をあげた。
そんな兄たちの姿に呆れて、その場に居合わせた明が補足する。
「二人きりじゃないよ。力くんも一緒だよ」
「え?力くんも一緒なんだ?あ、確か今日は月一の面会日だよね?!な~んだ」
明の言葉に、安堵の表情を思わずこぼす優。
しかし、一方で智は、眉間の皺を一層深く刻ませた。
「力っていや、アイツ、確か『千里』って呼び捨てにしてんだよ」
智の発言に、優と明の動きがピタリと止まる。
そして、三人は、まるで示し合わせたかのように、同時に声を荒げて叫んだ。

「「「親の教育がなっていない!!!」」」

この瞬間、遠く離れた遊園地で、翔が寒気を感じたのは、また別のお話である。

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